おだやかな日々のための “手書き術” 入門 第三回です。

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おだやかな日々のための “手書き術” 入門 第三回

(続き)

今回は「日々をおだやかに過ごす」ということについて、もうすこし具体的に解説しておきます。

ポイントは2つあります。

  • 嫌なことがない(すくない)
  • 不安がない(すくない)

日々の生活において嫌なことがない、不安がない、ということ。確かにこれらがなければ、日々をおだやかに過ごすことができるだろうと思います。

ではそのために、どうしたらよいでしょうか?

ひとつの事例として、私の体験をご紹介します。

誰でもがそうかもしれませんが、私も独立した当初は「成功や達成」に執着している部分がありました。その結果、成功や達成というものを過大評価している部分があったのだと思います。つまり、成功したからといってすべての嫌なことがなくなるわけではないし、すべての不安がなくなるわけでもない、ということです。

ショーン・エイカーが下記の TED 動画で伝えているように、達成というものには賞味期限があり、その期限は思ったよりはやくやってくるようです。

そこで私は考えました。

「人として充実した人生を送っていくために成功は必須ではない。好きなことも必須ではない。それよりも、嫌なこと不安なことをつぶしていけばいいだけなのでは?」

このことに気づいてからは、ずいぶんと楽になりました。

そこでまず、携帯電話(スマホ)を解約しました。

確かそのときの機種は iPhone4 だったと思いますが、これで土日や祝日、また夜間にお客さんから電話がかかってくることがなくなりました。いわゆるオンとオフの区別が明確になって、気持ちが切り替えやすくなりました。仕事においては集中力が増し、プライベートでは自由に満喫できる時間が増えました。

次にやったことは、自宅や仕事場の整理整頓です。いらないものは徹底的に処分する。最近では「ミニマリスト」という言葉があるようですが、いまから思えば、それに近い発想だったのかもしれません。生活環境が整理されたことにより、よりすっきりとした感覚で日々を過ごすことができるようになってきました。とはいえ実は、私の家はそんなに綺麗でもないし、整頓もされていません。要は「自分が気にならないというレベルをいつも保っていられる」という状態を継続することを心がけているということです。

最後にお金の整理です。

まずは出費をすべて記録しました。仕事上の収支をつけるのは当たり前のことですが、プライベートに関してもすべて記録していきました。またできるかぎり、電子決済を活用しました。これによって、お金を単なる数字の羅列、データとして見ることができるようになってきました。自分自身の経済状態を客観的にながめることができるようになってきたということです。するとまず、事業の状態が上向きになってきました。無駄な出費が減り、無駄な借金が減り、二度と借金しないで済むようになったのです、そしてどれだけのお金が必要かということが把握できるようになり、もっと稼がなくてはいけないという不安からも解放されるようになってきました。そしてその結果、より自然体で過ごすことができるようになってきました。

これらは個人的な経験にすぎませんが、あえてまとめてみますと、やっぱり「ヒト・モノ・カネ」という3つの分野それぞれについて、嫌なこと、不安なことへの対処をしていった、という感じになると思います。

現在は3児の父として、保育園の送り迎えをしながら自宅で仕事をしています。

実は私には、制作業をはじめてからの「ささやかな夢」がありました。

それは、「好きな街に、自分の事務所を持つ」ということです。これだ、と思えるような事業所物件はなかなかありませんから、チャンスを待つこと数年、その夢をかなえることができました。しかし実際にやってみると、想像していたほど面白くなかった。それはなぜか? 考えたのは、夢というのは他人のためにかなえるものではない、ということです。そのときの私には、他人に自慢したいとか、よく思われたいというような気持ちがあったのでしょう。そのために頑張っても、本当の意味での満足にはつながらない、ということだと思います。

事務所をたたんだおかげで、保育園の送り迎えもできるようになりました。迎えの時間は決まっているので、働くことのできる時間は限られています。大変ですが、子育ては予想以上に勉強になることが多く、結果的によかったと感じています。いまは、家族との時間を大切にしつつ、子どもの成長にあわせて活動をひろげていこうと考えています。

実はこのテキストもその活動のひとつで、育児にもすこしずつ慣れてきたので、そろそろあたらしいチャレンジをはじめようと思っているのです。

……とこのように、派手ではありませんが平穏な日々を過ごしています。

人生100年時代をむかえ、生きかた、働きかたが多様化していくなかで、このような「平穏さ」を軸としたライフスタイルを提案したいと考えています。そしてそれを実現するために必要となるのが、手書き術を使いこなすためのスキルです。

もしかしたらあなたにも嫌なこと、不安、そしてそれを解消するために行う無理、無駄なというものが、どこかにひそんでいるかもしれません。

次回は、これらを克服するための “手書き術” について具体的に紹介していきます。

(続く)